「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に関する質問主意書

平成28年9月29日提出
質問第24号

「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎

「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」に関する質問主意書

 平成28年7月、天皇陛下が退位の御意向を示されているとの報道がなされ、同年8月には、陛下が「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を述べられた。さらに9月には、政府において「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を開催することが決定された。
 そこで、以下質問する。

一 「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の「等」について
 1 具体的に何を示すのか。
 2 平成28年9月23日午前の記者会見において菅義偉内閣官房長官は同会議について、「退位の問題も含めて予断を持つことなく議論をしていただく」旨述べているが、「等」には「退位」が含まれるのか。
二 一の2の記者会見において官房長官が述べた「退位」の定義は何か。「譲位」とは異なるのか。
三 これまで退位を認めない理由として「天皇のそういう象徴たる地位から考えまして、御自分の発意でその地位を退かれるということは、やはりその地位と矛盾するのではないか」(林修三内閣法制局長官:昭和34年2月6日衆議院内閣委員会)との政府答弁があるが、日本国憲法第1条の解釈として「御自分の発意」による退位は認められるのか。
四 昭和46年3月10日の衆議院内閣委員会における高辻正巳内閣法制局長官(当時)の「憲法の第2条の、皇位は『国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。』という規定を受けまして皇室典範があって、これもご指摘のとおり第4条『天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する』ということで、退位の御自由がないというのが現行の憲法及び法律のたてまえであります。」との答弁に関して
 1 右答弁によれば、「退位」が現行制度上認められていない法的根拠は、皇室典範(昭和22年1月16日法律第3号)第4条の解釈によるとされている。現在も、この解釈が維持されているのか。
 2 右答弁は、皇室典範第4条を改正することで「退位」は可能となるという理解でよいか。
五 退位に関して定める法的措置の在り方について
 1 「政府は将来の退位を強くにじませた天皇陛下のお気持ち表明を受けて、いまの天皇陛下に限って生前退位を可能とする特別措置法を整備する方向で検討に入った。」との報道(朝日新聞平成28年9月7日)は事実か。
 2 「退位」は憲法第2条の「継承」のきっかけとなるものである。したがって、「退位」は憲法第2条に定める「皇室典範」の定めによらなければならないと解釈されるのではないか。憲法第2条の解釈を伺いたい。
 3 憲法第2条に定める「皇室典範」の定義は何か。現行の「皇室典範」以外に、退位に関する事項を新規の特別措置法として立法した場合、当該特別措置法を憲法第2条に定める「皇室典範」と解することは可能か。
六 皇室典範第11条第二項における皇籍離脱の規定について
 1 同条同項は、「親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」と規定し、皇太子及び皇太孫の皇籍離脱を認めていない。この趣旨は何か。
 2 皇太子及び皇太孫が不在の場合、皇位継承順位第一位となる皇族は、同条同項の条文上は皇籍離脱でき得ることとなる。仮に同条同項の趣旨が「皇位継承順位第一位の者が皇籍離脱することを認めない」(同旨「皇室法概論」園部逸夫著)であるならば、規定の趣旨に合致しないこととなり、制度の不備ではないか。
七 「退位」が可能であるとして、「退位」された天皇の身分と呼び名、敬称はどこに定めを置くのか。現行の皇室典範をあわせて改正しておくべきではないのか。
八 「退位」については、五及び六のような規定の整備も含め、「皇室典範」(昭和22年1月16日法律第3号)の改正によるべきではないのか。
 右質問する。

天皇陛下の退位についての法整備及び皇室典範の法律上の位置づけに関する質問主意書

平成29年3月13日提出
質問第129号

天皇陛下の退位についての法整備及び皇室典範の法律上の位置づけに関する質問主意書

提出者  大西健介

天皇陛下の退位についての法整備及び皇室典範の法律上の位置づけに関する質問主意書

一 憲法第2条は「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と明記しており、天皇の退位は、皇室典範の改正によってのみ可能と読むのが素直な解釈ではないか。したがって、皇室典範以外の特例法その他の法律による対応は憲法に違反するのではないか。
二 憲法は、天皇に関わる条文において、第4条第二項と第5条のように、法律と皇室典範を明白に書き分けている。また、憲法で下位の法令を固有名詞で引用しているのは極めて異例のことであり、皇室典範は、特例法を含め、他の法律では代替できないと解すべきではないか。
 右質問する。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に関する質問主意書

平成29年6月13日提出
質問第399号

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に関する質問主意書

提出者  上西小百合

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に関する質問主意書

 今回の天皇の退位について、私は皇室典範の改正による制度の恒久化を主張したのですが、残念ながら、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」による一代限りの天皇退位の法律が成立しました。そこで質問です。

一 6月1日の衆議院議院運営委員会で、菅官房長官は、天皇退位を特例法とした理由について、「将来の政治、国民の意識は変化しうる。全てを網羅して具体的要件を定めることは困難だ。国会が特例法の制定を通じ、その都度、諸事情を勘案して国民の受け止め方を踏まえて判断する。」と答弁しています。
  ということは、今度、新たに天皇になられる皇太子が何年後かに天皇退位を表明した時には、今回の特例法を前例として、また新たに天皇退位の特例法を作り、対応することになります。
  今回の天皇退位の事由は、「陛下ご自身が八十三才の高齢になり、今後の活動が困難になることを深く案じられていること等を考慮した」とあります。しかしながら健康状態には個人差があり、年齢で判断できない場合もあります。今回の法律によると、今後、天皇退位の事例、そして新しい事由が生じるたびに、その度法整備をしなければなりません。天皇退位の条件を前もって決めておけば、将来、天皇退位の事例があっても迅速な対応が可能ではないかと思いますが、政府の見解を伺います。
二 菅官房長官は、6月8日の記者会見で、特例法案の附帯決議について、「二つに分かれている。その趣旨を尊重して、対処していきたい。」また、皇位継承に関しては、父方が天皇の血統を引く「男系男子」に限定する現行制度を維持する方針を重ねて示しています。
  この発言は女性宮家の創設については、安定的な継承確保の問題と切り分けて検討することを示しています。
  附帯決議の「女性宮家の創設」については、女性皇族が結婚後も皇室に残り、公務を継続できるようにするだけというようにも思えます。
  今回の特例法案に賛成した議員の中には、女性宮家の創設により、女性・女系天皇の誕生をも想定していたのではないでしょうか。女性宮家創設についての政府の見解を伺います。
三 陛下のこれまでの人生は、我々が想像する以上のものがあったと思いますが、陛下の残された人生を健やかに過ごされることを国民のひとりとして、念じてやみません。退位後の上皇の公務については、一切の公的活動から、手を引くということを聞いていますが、真意はどうなっているのでしょうか。政府の見解を伺います。
 右質問する。

皇室会議における菅官房長官の役割に関する質問主意書

平成29年12月1日提出
質問第77号

皇室会議における菅官房長官の役割に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二

皇室会議における菅官房長官の役割に関する質問主意書

 12月1日、天皇陛下の退位時期について議論するため皇室会議が開かれるが、その前日11月30日、皇室会議が開催される予定の部屋が報道陣に公開された。部屋は宮内庁庁舎の三階にある特別会議室で、議長を務める首相を中心に議員の席が円状に並ぶ中、この円を構成する位置に陪席予定の菅義偉官房長官の席が用意された。
 これまでに開かれた皇室会議にも宮内庁次長や東宮大夫らが陪席したことはあったが、席は壁際に用意され、皇室会議の議員の輪に加わるようなことはなかったと報じられている。官房長官用とされた机は安倍総理の正面に位置し、これまでの皇室会議では宮内庁長官が座っている位置であったと承知している。
 このような事実を踏まえ、菅官房長官の皇室会議における役割を確認したいので、以下質問する。

一 皇室典範第28条では「皇室会議は、議員十人でこれを組織する」とされ、同条第二項では「議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる」と規定されているが、官房長官は皇室会議の議員ではないという理解でよいか。
二 日本国憲法下の皇室会議で、陪席という形ではなく、官房長官が皇室会議の議員と同じような着席形式で会議に参加したことはあるのか。
三 今次の皇室会議において、菅官房長官はどのような資格で出席するのか。また皇室典範のいうところの皇室会議の「議事」に参加し、発言は許されるのか。
四 今次の皇室会議において、議員ではない菅官房長官をこれまで宮内庁次長や東宮大夫らが陪席した前例とは異なり、席を壁際に用意せず、皇室会議の議員の輪に加わるようにした理由は何か。政府の見解を示されたい。
五 平成29年6月9日、安倍総理は、天皇陛下の退位を可能にする特例法案が参院本会議で可決、成立したことを受け、「法律の重要性に鑑み、衆参両院の議長、副議長に尽力をいただき、また会派の皆様の協力をいただき、静謐な環境の中で速やかに成立させていただいたことに対して感謝を申し上げ、改めて敬意を表したい」と発言した。このような発言と皇室会議の議員ではない官房長官の席を皇室会議の議員の輪に加わるようにしたことは、反するのではないか。皇室会議の政治主導をアピールするもので、「静謐な環境の中」での議論とは相いれないのではないか。政府の見解を示されたい。
 右質問する。

皇室会議に菅内閣官房長官が陪席したことに関する質問主意書

平成29年12月4日提出
質問第79号

皇室会議に菅内閣官房長官が陪席したことに関する質問主意書

提出者  初鹿明博

皇室会議に菅内閣官房長官が陪席したことに関する質問主意書

 天皇の退位等に関する皇室典範特例法(以下「特例法」という。)について意見を聴く皇室会議が平成29年12月1日に開かれました。
 皇室会議は内閣総理大臣を議長とし、成年に達した皇族から二名、衆議院及び参議院の議長及び副議長、最高裁判所長官及び最高裁判所裁判官一名、宮内庁長官の計十名で構成されています。
 12月1日に開催された皇室会議には十名の議員以外に菅内閣官房長官が陪席していました。
 これまでも議員以外の者が陪席することはありましたが、席は議員の輪から離れた壁際になっていたとされています。しかし、今回の菅内閣官房長官の席は議長の正面で輪の中にありました。
 皇室会議後の記者会見で、陪席した菅内閣官房長官の役割を尋ねられた山本宮内庁長官は、「特例法の担当大臣の立場で、説明員として陪席した。特例法の趣旨などについて議員から質問があった時に責任を持って答えることが必要。そのために陪席したと整理している。」と答えたとされています。
 以下、政府に見解を伺います。

一 菅内閣官房長官の席が過去の陪席者と異なり、議員の輪の中にあったのは如何なる理由からか。
二 宮内庁長官の記者会見での発言によると、特例法についての説明員として陪席していたということですが、特例法の趣旨等について菅内閣官房長官に実際に質問した議員はいるのか。
三 いるならば、具体的にどのような質問をし、答えを返したのか。
四 特例法の説明以外に、当日の議題について菅内閣官房長官が意見を述べることはあったか。あったのなら、具体的にどのような意見を述べたのか。
 右質問する。

皇室の私的行為に関わる文書の公開基準に関する質問主意書

平成30年6月29日提出
質問第417号

皇室の私的行為に関わる文書の公開基準に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二

皇室の私的行為に関わる文書の公開基準に関する質問主意書

 政府は、平成29年12月8日の閣議で、天皇陛下の退位日を平成31年4月30日と定める政令を決定した。安倍総理は閣議後の閣僚懇談会で、皇太子殿下が翌5月1日に新天皇に即位すると表明した。平成は31年で終わり、新たな元号が定められる。
 「宮内庁行政文書管理規則」(平成23年4月1日、宮内庁訓令第5号)で「行政文書」とは、「宮内庁の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、宮内庁の職員が組織的に用いるものとして、宮内庁が保有しているもの」と示されている。
 平成26年9月9日の朝日新聞では、「昭和天皇は日記をつけていた。孤独からか、負った責務の重さと束縛のつらさからか死をも考えたが、妻への愛情と生物学研究が救いになったことや、自分が国や国民のためにどれほど役に立っているか慙愧にたえないと何度も精進を誓う記述もあったという。2000年に香淳皇后が亡くなると身辺から見つかったが、「亡き天皇のお忘れ物」として皇后とともに陵に埋められたとされる」との記述がある。
 京都大学の奈良岡教授は、「日本では、皇室または宮内庁関係の文書の多くが、皇室の私的行為に関わるものだという理由で非公開になっている」と指摘している。「2014年に昭和天皇の伝記『昭和天皇実録』が完成し、翌年から刊行が始まったが、「侍従日誌」など、同書の記述の典拠となった文書の多くも非公開のままである。『昭和天皇実録』には、昭和天皇が幼少期に日記をつけていたという記述があるが、日記原本の所在は明らかにされていない」(アステイオン 八六巻、2017年5月)とも指摘している。
 平成の時代は残すところ一年を切り、一つの時代の節目に差しかかることから、その時代以前の皇室に関わる歴史的な資料をどのように後世に残していくべきか考えることも重要であると思われる。もっとも、皇室の私的行為に関わる部分も多く、その取り扱いには特段の注意を払う必要があることは論をまたない。
 このような観点から、以下質問する。

一 現在、皇室の私的行為に関わる文書について、政府は公開基準を持っているのか。
二 昭和天皇の伝記「昭和天皇実録」の刊行が始まっているが、「侍従日誌」など同書の記述の典拠となった文書の多くは現在も非公開のままであると承知しているが、このような「昭和天皇実録」の記述の典拠となった文書は将来的には公開されることはあるのか。また公開することを検討しているのか。
三 二に関連して、「昭和天皇実録」の記述の典拠となった文書の多くは、「宮内庁行政文書管理規則」でいうところの「宮内庁の職員が職務上作成し、又は取得した文書」であり「行政文書」であるという理解でよいか。それとも皇室の私的行為に関わるもので、「行政文書」足りえないのか。政府の見解如何。
四 皇室の私的行為に関わるものであっても、その資料の歴史的価値は論をまたない。歴代天皇の日記や高位の貴族、天皇に仕える侍従の日記等が日本の歴史学研究の一級の研究資料であることは誰もが認めるものである。「宮内庁行政文書管理規則」でいう「秘密文書」で「イ 極秘文書 秘密保全の必要が高く、その漏えいが国又は皇室の安全又は利益に損害を与えるおそれのある情報を含む行政文書」、「ロ 秘文書 極秘文書に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてはならない情報を含む極秘文書以外の行政文書」としての性質を欠くに至ったものは原則公開すべきではないか。政府の見解如何。
五 四に関連して、天皇の日記や侍従の日誌などの公開基準はないと思料する。例えば、イギリスで王室関係の文書はウィンザー城内にある王室文書館が管理している。この中には、連合王国の国王として1801年から1820年まで在位したジョージ三世宛ての私信、秘書官への公的文書、1837年から1901年まで在位したヴィクトリア女王の私信、日記などが含まれている。イギリス王室は「書簡や日記などを公開する法的義務は負っていない」ものの、「国王の日記をも含む、多種多様な資料が公開されている」と奈良岡教授は指摘する(アステイオン 八六巻、2017年5月)。わが国において、皇室の私的行為に関わる文書が非公開で公開基準がない現状は、皇室または宮内庁関係の文書の多くが、皇室の私的行為に関わるものだという理由であるという理解でよいか。そうでないとすれば、どのような理由からか。
六 平成の時代は残すところ一年を切り、一つの時代の節目に差しかかることから、その時代以前の皇室に関わる歴史的な資料をどのように後世に残していくべきか考えることは重要であると思われる。政府は、皇室に関わる歴史的な資料をどのように後世に残していくべきかについて、検討会などを設置し議論をはじめるべきではないか。政府の見解如何。
 右質問する。

皇位継承に関する質問主意書

令和元年11月15日提出
質問第78号

皇位継承に関する質問主意書

提出者  丸山穂高

皇位継承に関する質問主意書

 現行の皇室典範(昭和22年法律第3号)に関連する次の事項について質問する。

一 平成29年6月の「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」の中で、「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。」と決議している。しかしながら現時点では検討もされていない状況である。
 具体的検討を国民的なコンセンサスを得つつ、慎重にすすめていかなければならないと考えるが、政府の対応についてその見解を問う。
 1 いつから検討を開始する予定であるのか。検討の開始時期を未だに決定していないのであれば、その理由を示されたい。
 2 検討に当たっては、平成16年12月27日に内閣総理大臣決裁によって設置された「皇室典範に関する有識者会議」のような有識者で構成される会議体を設置するのか。あるいは、読売新聞(令和元年10月24日付け)等で報道されているとおり、有識者で構成される会議体を設置せずに学識経験者から個別に意見を聴取することを検討しているのか。どのような形式で検討を行う予定であるのか理由を含めて答弁願いたい。
 3 安定的な皇位継承を確保するためには結論を出す時期を定めるべきだと考えるが、政府の見解如何。また、結論を出す時期を定めないのであればその理由を含めて答弁願いたい。
二 日本国憲法(昭和21年憲法)第1条は、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と規定している。政府は、安定的な皇位継承を確保していく方法を検討していくに当たり、「国民の総意」をどのように集約していくつもりなのか。上記附帯決議で述べている「立法府の総意」に委ねるということになるのか。その場合、具体的手段としてどのような方法をとるのか。政府の見解を問う。

 右質問する。

安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀に関する質問主意書

令和4年8月3日提出
質問第28号

安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀に関する質問主意書

提出者  中谷一馬

安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀に関する質問主意書

 政府は令和4年7月22日の閣議で、安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀を同年9月二17日に行うと決定した。本件について、以下質問する。

一 「故吉田茂国葬儀」の際には、大喪の礼を除いて国葬についての根拠法令がなかったことから閣議決定によって国葬儀が行われた。その一方で、今回の「故安倍晋三国葬儀」に関しては、令和4年7月14日の岸田文雄内閣総理大臣の発言によると、内閣府設置法(平成11年法律第89号)において国の儀式が内閣府の所掌事務となっており(第4条第三項第33号)、国の儀式として行う国葬儀については、閣議決定を根拠として、行政が国を代表して行い得るとしている。しかしながら、内閣府設置法の内閣法制局の解釈については、岸田文雄内閣総理大臣の発言のみが先行しており、公的にどのような解釈がなされているのか、公表されていない。そこで伺うが、内閣法制局は、内閣府設置法第4条第三項第33号「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。」で、国会の審議等を必要とせずに閣議決定のみで「故安倍晋三国葬儀」を行えると考えたのか、詳細についてお示し頂きたい。
二 慶應義塾大学の小林節名誉教授(憲法学)は、令和4年7月27日付のアエラドットの記事において、内閣府設置法第4条第三項第33号は、皇室典範第25条で決まっている国葬などの儀式を内閣が執行する規定であり、「内閣が元首相の国葬という新しい儀式類型を創出して良いという規定ではありません。だから、今回の閣議決定は明らかに違憲です」という見解を述べられており、内閣府だけで決めるのなら、「内閣葬」がふさわしいという意見があるが、岸田文雄内閣は、こうした意見についてはどのように考えているのか、所見を伺いたい。
三 史学雑誌第百三十編第7号「戦後日本の公葬 国葬の変容を中心として」によれば、「貞明皇后大喪儀」の際に佐藤達夫法務府法制意見長官が、国葬実施には、「実際上は、国会の両院において決議が行われ、それを契機として内閣が執行するという経緯をとることが望ましい」と述べているが、「故安倍晋三国葬儀」に関して岸田文雄内閣は、国会の審議等は不要であると考えているのか、所見を伺いたい。
四 史学雑誌第百三十編第7号「戦後日本の公葬 国葬の変容を中心として」によれば、「故吉田茂国葬儀」の際に、社会党は反対しなかったものの、山本幸一書記長が、閣議決定のみは不適当で、議院運営委員会でもいいので国会の議決を求めるべきだと述べている。また、今回の「国葬(故吉田茂国葬儀)」は前例とせず、今後の取り扱いは衆議院議院運営委員会で検討するべきとの主張を行っているが、今回の「故安倍晋三国葬儀」は、内閣府設置法第4条第三項第33号を踏まえて閣議決定のみで「国葬」を行うことができる前例になると考えているか、岸田文雄内閣の見解を伺いたい。
五 国葬に関する基準を定めることなく、時の内閣が独断で決定することは公平性に欠けるという趣旨の意見がある。「故宮澤喜一内閣・自由民主党合同葬儀記録」に記載されている「合同葬儀」の決定等の経緯に関する過去の例による考え方の整理によれば、「長期にわたり国政の重責を担い、国内的にも国際的にも大きな足跡を残したこと」、「その逝去が国政遂行上の殉職ないしこれに相当するようなものであったこと」が述べられているが、これ以上の明確な定義は定められていない。そこで伺うが、岸田文雄内閣は「国葬」が行われるべき者の基準をどのように考えているのか、詳細について所見を伺いたい。また、安倍晋三元内閣総理大臣の逝去は、国政遂行上の殉職ないしこれに相当するようなものであったと考えているか、所見を伺いたい。
六 現在の日本国憲法下で国葬を行う際には、衆参両院議長・最高裁判所長官といった三権の長との協議を行い、三権合同で行うべきであるという意見があるが、岸田文雄内閣は、三権の長との協議を行い、三権合同で国葬の開催を行うことについてはどのように考えているのか、所見を伺いたい。
七 今回の「故安倍晋三国葬儀」では、葬儀委員長は岸田文雄内閣総理大臣、葬儀副委員長は松野博一官房長官、葬儀委員は第二次岸田内閣の各国務大臣、内閣官房副長官、森昌文内閣総理大臣補佐官、内閣法制局長官、内閣府副大臣、内閣府大臣政務官及び内閣府事務次官が務めるとのことである。
 また、「故安倍晋三国葬儀」の執行に関する細部の事務を処理するため、葬儀実行幹事会を設置した。
 首席幹事は、森昌文内閣総理大臣補佐官が務め、幹事は、藤井健志内閣官房副長官補、松田浩樹内閣官房内閣総務官、出口和宏内閣官房内閣審議官、原宏彰内閣府大臣官房長、原典久内閣府大臣官房審議官、中田昌和内閣府大臣官房政府広報室長兼内閣官房内閣審議官、冨安泰一郎デジタル庁統括官、角田隆復興庁統括官、古賀浩史宮内庁長官官房審議官、小島裕史警察庁長官官房長、櫻澤健一警察庁警備局長、石田晋也金融庁総括審議官、黒田岳士消費者庁次長、今川拓郎総務省大臣官房長、澤田史朗消防庁次長、松本裕法務省大臣官房長、石川浩司外務省大臣官房長、志野光子外務省大臣官房儀典長、青木孝徳財務省大臣官房長、矢野和彦文部科学省大臣官房長、山田雅彦厚生労働省大臣官房長、榎本健太郎厚生労働省医政局長、渡邊毅農林水産省大臣官房長、藤木俊光経済産業省大臣官房長、宇野善昌国土交通省大臣官房長、久保田雅晴国土交通省航空局長、瀬口良夫海上保安庁次長、鑓水洋環境省大臣官房長、芹澤清防衛省大臣官房長が務めるとのことであるが、これ以上、葬儀委員及び葬儀実行幹事会のメンバーが増える可能性があるか、岸田文雄内閣の見解を伺いたい。また、あるとすればそれはどういう人選を想定しているのか、詳細について見解を伺いたい。
八 史学雑誌第百三十編第7号「戦後日本の公葬 国葬の変容を中心として」によれば、「故佐藤栄作国民葬儀」において、葬儀委員は、実行委員会にて選定され、国民有志が委員として選ばれた。故人と生前に親交があった井上靖氏、王貞治氏、森繁久弥氏など各界から著名な国民有志が委嘱を受けることとなった。
 そこで伺うが、今回の「故安倍晋三国葬儀」は、「国民葬儀」ではないので、国民有志を委員に委嘱する考えはないという認識で正しいか、岸田文雄内閣の見解を伺いたい。また、仮に国民有志を委員に委嘱する考えがある際には、どういった人選を検討しているのか、詳細について見解を伺いたい。
九 史学雑誌第百三十編第7号「戦後日本の公葬 国葬の変容を中心として」によれば、「故大平正芳内閣・自由民主党合同葬儀」では、カーター米大統領、華国鋒中国首相をはじめとする海外の首脳が多数参列し「喪服外交」が繰り広げられ、結果として「わが国の国際的地位の向上」を示すものとして好意的に報道された。
 そうした中、自民党の高市早苗政調会長は「故安倍晋三国葬儀」が閣議決定されたことに関して、「外国の方々に弔問の場を用意することは非常に意義がある」、「この国の儀式として内閣府が執り行うことで、外交的な意義や遺族の負担軽減は非常に大きい」などと述べており、国葬儀の外交的な意義について、肯定的な論調の意見を述べる方が少なからず存在する。
 そこで伺うが、岸田文雄内閣は、「故安倍晋三国葬儀」の外交的な意義をどのように考えているのか、所見を伺いたい。また、「国葬儀」、「国民葬儀」、「内閣・政党合同葬儀」では外交的な意義に違いが生じると考えているのか、見解を伺いたい。
十 「故安倍晋三国葬儀」に関して、岸田文雄内閣として安倍家など遺族の意向は確認されているのか、伺いたい。また、確認されているとすれば、安倍家など遺族は「故安倍晋三国葬儀」という「国葬儀」を行うことに関して賛意を示されているのか、併せて所見を伺いたい。
十一 安倍晋三元内閣総理大臣の功績に関する評価については賛否両論ある。
 岸田内閣総理大臣は、令和4年7月14日の記者会見で、「安倍元総理におかれては、憲政史上最長の八年八か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。」などとして、「国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。」と述べている。
 その一方で、各種メディアでは、「憲法解釈変更による集団的自衛権行使の一部容認などは「国会で議論を尽くしたとは言えない。強引な政権運営は民主主義を軽んじた」」、「森友、加計両学園、桜を見る会の問題について「(安倍氏や政府の)虚偽答弁や不誠実な対応は国民に大きな政治不信を招いた」」、「森友・加計学園や「桜を見る会」を巡る問題では、説明責任を尽くさなかった。真相は依然として闇の中だ」、「桜を見る会に関しては、国会でうその答弁を積み重ねた。国会軽視の姿勢も忘れてはならない」、「国葬とすることで安倍氏の負の側面に向き合わず、ふたをしてしまうことにつながらないか」、「過去30年間で、賃金が上がらず、物価は上昇した。アベノミクスで生活が良くなったと実感できている国民も多くはなさそう」など厳しい意見も相次いでいる。
 そこで伺うが、岸田文雄内閣は安倍晋三元内閣総理大臣の歴史的評価が定まっていると考えているのか、所見を伺いたい。また、定まっているとすれば、どのように定まっていると考えているのか、所見を伺いたい。
十二 大平正芳元内閣総理大臣が死去した際に、現職で死去したことで国葬に値するとの意見があったが、結果としては内閣・自由民主党による合同葬が行われた。
 このように戦後の歴代総理大臣の中には、国葬に値するとの意見がありながら、国葬に関する慎重意見も根強いことから内閣・政党・国民有志の三者が主催する国民葬、内閣・政党が主催する合同葬、特定の政党が行う政党葬などが執り行われてきた。
 こうした歴史的な背景を踏まえて伺うが、吉田茂元内閣総理大臣を除く、戦後歴代の総理大臣と比べ、安倍晋三元内閣総理大臣はどのような点でより国葬に値すると判断され、「故安倍晋三国葬儀」の閣議決定が行われることとなったのか、岸田文雄内閣の見解を伺いたい。
十三 佐藤栄作元内閣総理大臣が死去した際、訃報に接した政府内では、①首相在任期間が七年八か月と当時最長であったこと、②平和的な話し合いによって沖縄返還を実現するといった国際史の中でも特筆すべき実績があったこと、③「非核三原則」という日本の核兵器に対する基本政策をうち立て、ノーベル平和賞を受賞するなど功績が顕著であったこと、④国葬とされた吉田茂元内閣総理大臣と同様に、生前に大勲位菊花大綬章を受章していたことなどの意見を中心に国葬実施論が勃興したと承知している。しかしながら、様々な理由から反対意見が示され、結果としては、内閣・自民党・国民有志の三者が主催する国民葬という非国葬の形式で開催されることとなった。
 こうした歴史的な背景を踏まえて伺うが、岸田文雄内閣は安倍晋三元内閣総理大臣の功績が佐藤栄作元内閣総理大臣の功績を超えるものであると考えているのか、見解を伺いたい。また、超えるとしたならばそれはどういった点から優れていると考えているのか、詳細について所見を伺いたい。
十四 安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀に関して、「国葬」として行うことに関して様々な世論調査が行われている。
 令和4年7月19日に公表されたNHKの世論調査では、安倍元総理大臣の葬儀を、国の儀式の「国葬」として行う方針への評価を聞いたところ、「評価する」が四十九%、「評価しない」が三十八%であった。また、同月二16日付産経新聞の世論調査では、政府の国葬決定を「どちらかといえば」も含めて「よかった」と答えたのは計五十・一%で、「よくなかった」も「どちらかといえば」を含めると計四十六・九%となり拮抗した。
 その一方で、同月三11日公表された共同通信社の世論調査では、安倍晋三元内閣総理大臣の国葬に関して、「反対」、「どちらかといえば反対」が計五十三・三%、「賛成」、「どちらかといえば賛成」が計四十五・一%、同年8月1日に公表された日本経済新聞社の世論調査では、安倍晋三元内閣総理大臣の国葬に関して「反対」が四十七%、「賛成」が四十三%で、反対が賛成を上回る調査が散見されるようになった。
 トレンド的には賛成意見から反対意見が多くなっている傾向にあり、いずれにせよ賛否両論が拮抗していることから、政府による一方的な意思決定により国民の分断が深まることを懸念する。
 そこで伺うが、岸田文雄内閣は世論調査を踏まえた国民の意志をどのように受け止めているのか、所見を伺いたい。
十五 日本国憲法第66条により内閣は行政権の行使について国会で説明する責任を負っており、国会審議に応じない政府・与党の姿勢に対する批判が散見される状況にある。
 「故安倍晋三国葬儀」に関しては、論点が多く、確認しなければならないことが多々あるので、早急に次の臨時国会を開いて審議を行うように、岸田文雄内閣総理大臣から自由民主党総裁として与党に働きかけを行う考えはないか、所見を伺いたい。

 右質問する。

皇室典範改正に向けての議論に関する質問主意書

令和6年6月17日提出
質問第174号

皇室典範改正に向けての議論に関する質問主意書

提出者  たがや 亮

皇室典範改正に向けての議論に関する質問主意書

 額賀福志郎衆議院議長のよびかけで、5月17日、同二13日の二回にわたり、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」が開かれた。
 額賀議長は、「今国会での意見のとりまとめ」への意欲を当初語っていたが、会期末が6月二13日に迫る中、二回にわたる全体会議の中でも各党各会派代表から示された意見項目には乖離の大きなものがあり、その後、各党各会派別に額賀議長ら全体会議の主催者側が再度の意見聴取を行うことになっている。
 全体会議で、れいわ新選組は、「「裏金問題」や国民生活の復旧が最優先で議論されるべき」と表明し、こうした喫緊の課題がある中で「静かな環境で皇位継承問題などを議論していくことは無理」であると述べた。この度の全体会議の進め方が額賀議長が提起した「毎週開催して協議」という方向に出来なかったことが、れいわ新選組の述べた主張の正しさを裏付けているものと考える。
 また、この間、世論調査で皇位継承の安定問題で国民の意識動向が新たに示されているのに、全体会議での議論の方向が主催者側から「論点」として示されたものにも、そして参加した各党各会派の大多数(れいわ新選組、日本共産党、社民党、沖縄の風を除く)の意見からもこれらが全く反映されていなかったことも特徴だった。従来の「男系男子継承」の継続を前提とした「女性皇族の婚姻後の皇籍維持」「旧宮家を含む皇統に属する男系男子の養子受け入れ」「男系男子を法律によって皇族に編入」などの策に限った議論が指向されたことは、国民の代表たる国会議員と所属党派・会派の多くが国民世論の動向とあまりに乖離した異常な状態を露わにするものとなったと考える。
 皇位継承の安定や女性皇族の位置づけなどの議論は、時間をかけて慎重に行うべきであり、れいわ新選組が指摘したように国民の多くに不信を広げた「裏金問題」解明や国民生活の復旧といった喫緊の課題を最優先にしつつも、議論では国民の世論動向を正しくふまえ、論点もしっかりと準備しつつ行うべきである。
 また、憲法第1条で定められている「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とされている以上、適切な形で国民の意見、意思が反映する形での議論や必要とされる場合の皇室典範改正につながる措置への国民の参与(公述や国民投票等)が必要とも考える。
 岸田文雄内閣総理大臣が総裁を務める自由民主党は、全体会議にあたって「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」を明らかにしているが、ここに示されている意見は「皇族数の確保は正に喫緊の課題」「まずは、皇位継承の問題とは切り離して速やかに皇族数確保のための方策を講じ、その先に安定的な皇位継承の道を見出していくべき」「秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」などとして、男系男子継承を当面維持することを前提に「女性皇族の皇籍維持」「男系男子の養子受け入れ」等に言及しているが、前記のとおり例えば後述の質問で取り上げるような4月下旬公表の共同通信世論調査に示されたような国民の意見は全く無視されたものになっている。
 なぜ、「国民の総意に基く」皇位継承問題の議論で国民から示された多数意見を論点にすら取り上げようとしないのか、誠に不可解としか言いようがない。
 以上を踏まえて、岸田文雄内閣総理大臣に質問する。

一 4月下旬に公表された共同通信世論調査では、設問「あなたは女性皇族も皇位を継ぐ「女性天皇」を認めることに賛成ですか、反対ですか」に対して「賛成」五十二%、「どちらかといえば賛成」三十八%で賛成意見が合計九十%に達している。この意見をどう受けとめているか。
二 同じ調査の設問にある「女性天皇を認めた場合、あなたは女性天皇が皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ「女系天皇」」についても、「賛成」三十八%、「どちらかといえば賛成」四十六%で賛成意見が合計八十四%に達している。この意見をどう受けとめているか。
三 同じ調査の設問にある「戦後の1947年に皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし、「男系・男子」の天皇を維持する考えがあります。あなたはこの考えに賛成ですか、反対ですか」との問いに「賛成」七%、「どちらかといえば賛成」十八%で賛成意見が合計二十五%に対し、「反対」十九%、「どちらかといえば反対」五十五%と反対意見は合計七十四%に達している。この意見をどう受けとめているか。
四 この度、全体会議で論点に挙げられている「女性皇族の婚姻後の皇籍維持」や「男系男子の養子受け入れ」「法律による皇族編入」については、皇族数を増やすことにより皇室関係費の増額が見込まれる。これらについて、どのような見通しを具体的に持っているか。現状の皇室関係予算がどのような内容と規模で変化し、増大するのか現状での予測を示されたい。

 右質問する。

選択的夫婦別氏制度に対する政府の姿勢に関する質問主意書

令和6年11月11日提出
質問第6号

選択的夫婦別氏制度に対する政府の姿勢に関する質問主意書

提出者  北野裕子

選択的夫婦別氏制度に対する政府の姿勢に関する質問主意書

 令和6年11月4日現在、選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度。以下、「別氏」は、「別姓」とする)について、導入を求める意見が見られる。しかし、我が国では、家族単位を基盤とする戸籍制度が長く根付いており、夫婦が同じ姓を持つことで家族の一体感が保たれ、親族関係を明確にする役割を果たしている。こうした日本に根付いた家族観は、他国とは異なる日本の特徴であり、単に「選択の自由」の問題として扱うべきではない。
 民法第七百五十条及び戸籍法第74条第1号では、夫婦のいずれかの姓を選択することが認められており、姓の選択に関して強制はなく、現行法は柔軟な選択を許容している。この点については、令和3年6月23日に最高裁判所大法廷において、憲法上の問題はないと判断されており、姓の選択が差別に当たらないとされている。
 一方、国際連合の女子差別撤廃委員会は、日本に対し、結婚後も女性が旧姓を維持できるよう法改正を勧告している。しかし、この勧告は日本の伝統的な家族観や国民の意識を十分に考慮しているとは言い難い。
 現在、我が国では、姓の変更による不便の対応として、旧姓の通称使用や併記が多くの分野で認められている。国家資格や公的身分証などでも旧姓の通称使用や併記が可能であり、夫婦同姓による不便は事実上解消されつつあるといえる。必要があれば、これらの範囲をさらに広げることで対応は可能である。
 また、国民の意識調査においても、夫婦同姓を支持する声が多い。令和3年に内閣府が実施した家族の法制に関する世論調査では、夫婦同姓を「維持したほうがよい」との回答が二十七%、夫婦同姓を維持しつつ「旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい」が四十二%であり、合計六十九%が現行制度の維持に賛同している。また、共同通信社が令和6年に実施した主要企業に対するアンケートでは、選択的夫婦別姓の導入を「早期に実現すべき」とする企業が十七%、「将来的には実現するべき」が四%に留まり、「その他・無回答」が六十七%を占めている。このことからも、急速な制度変更は必ずしも社会全体や企業の意識に即したものではないと考えられる。
 さらに、夫婦別姓制度が導入されると、夫婦や親子間で異なる姓を使用することで家族の一体感が損なわれる懸念がある。特に、第三者から家族関係が把握しにくくなることは、家庭や社会の安定にとってマイナスの要因となり得る。また、新生児の姓や終末期の墓の記名をめぐり、夫婦や実家間での議論が増える可能性も考えられる。こうしたことから、選択的夫婦別姓制度は家族間や世代間の法的争いや一体感の喪失につながる懸念がある。
 さらに、戸籍制度の改変による行政コストの増加や、親族関係や日本国籍の公証に不可欠な戸籍制度の在り方についても、慎重な検討が必要である。制度変更が社会全体に新たな混乱や負担をもたらす可能性がある。
 以下これらの点を踏まえて質問する。

一 法務省のウェブサイトには「選択的夫婦別氏制度」について、「結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度」と説明され、現行制度についても「男性の氏を選び、女性が改姓する例が圧倒的多数である」旨の説明がされている。しかし、同ページでは、女性の社会進出に伴う改姓の不便・不利益等が導入の背景として強調され、日本の歴史的・文化的背景や、現行制度が持つ家族の一体感維持の意義については記載がない。法務省が、選択的夫婦別姓制度の導入は、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題であり、国民の理解のもとに進められるべきとするのであれば、女性の社会進出に伴う不便のみを取り上げるのではなく、現行制度の意義や歴史的・文化的背景、また導入に伴う社会的影響やデメリットについても情報提供を行う必要があると考える。その記載がない理由が特段あれば説明を求める。また、記載内容の修正が必要であると考えるが、どうか。
二 令和6年10月30日、林芳正官房長官は会見において、皇位継承を男系男子に限る皇室典範について、国連の女子差別撤廃委員会から改正の勧告があったことに対し、抗議を行った。一方、同委員会からの選択的夫婦別氏制度導入に関する勧告については抗議や反論が行われていないが、政府として、夫婦同姓制度(民法第七百五十条)が女子差別撤廃条約第1条に照らし、広く解釈を検討する余地があると考えているのか。仮に現行の夫婦同姓制度が女性差別に該当しないとの見解である場合、同委員会の勧告に対して抗議や反論を行わなかった理由があれば示されたい。
三 政府は、旧姓の通称使用や併記の現状をどのように評価しているか。さらに拡大する必要がある分野があると考えているか。また、現状での拡大可能な分野についての把握は既に済んでいるのか、確認したい。
四 旧姓の使用や併記が可能であることが十分に周知されていないと考えられる。政府は、現在どのような周知方法を実施しているのか。また、今後、これらの周知を徹底するためにどのような方策を検討しているのか。

 右質問する